小説ブログ 月の村

あなたの心の中で輝き続ける小さな宝石のような物語を贈ります。

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「note」を使い始めました! 

[ 管理人の雑記]

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こちらに掲載していた短編を「note」に移していきます。

特にスマホ画面で読みづらいという理由が大きいです。

「note」のほうもよろしくお願いいたします!

https://note.mu/mari_999
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夜を乗り越える 

[ 曲とのコラボ]

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 どうでもよかった。
 両親が離婚して、その原因が信じていた母親の不倫だった。
「お母さんも女なの、許してね」
 そう言って不倫相手と出ていった。
 許してって? 俺はなにを許せばいいんだ? 許せない俺は悪いのか? そもそも俺は許してないのか?

 繁華街に出たら、ガラの悪そうな兄ちゃんが笑顔で近づいてきた。
「お兄ちゃん、中学生?」
 聞かれたので頷くと、
「ダメだよ、こんな時間にこんなとこにいたら補導されちゃうよ」
 言いながら、火が付いたタバコを一本差し出した。
「俺、未成年だから」
 小さい声で言ったけど、
「いいから。楽になるからさ」
 ぎゅっと、俺の手に握らせた。
 煙を吸い込むと、本当に頭がふわっとした。心地よかった。怒りも悲しみも吹っ飛んで、今ここにいることすら、夢の中の出来事のように感じた。
 とりあえず、今を乗り越えられればいい、今夜さえ乗り越えられれば、俺はまた強く生きていけるはずだ。

 親父はあれから飲んだくれになってしまった。酒なんて、ほとんど飲まない人だったのに。
 俺は、そんな親父を励ましながら、しっかり者の息子になった。朗らかだった父親の変わり果てた姿に絶望していたけれど、そんな気持ちは押し殺して、学校も休まずに行って、母親の代わりに家事もこなした。悲しみも怒りも絶望も、自分の中に押し込めた。

「だんだん、量が増えてきてない? 中毒になっちゃうよ。まだ若いのに」
 ガラの悪そうな兄ちゃんは、通称ケイといった。ホントはアルファベットの「K」なんだよって教えてくれた。そんな情報どうでもよかった。
 ケイがくれる心地よくなるもの、それがなければやっていけなかった。ケイはたぶん20代だった。「10代のころの俺みたいでさ」と言って、ケイは本当は有料のソレを無料で俺に分けてくれてた。

 その晩も、夕飯の後、家を抜け出してケイに会いに行った。いつもの繁華街の路地。
 ケイからいつものを受け取っていた時、路地の向こうに人影が動いた。
「やべえ! 逃げろ!」
 ケイが叫んだ。訳がわからず、ケイに続いて、俺は走った。
「まくんだ! 違う方向に走れ! 絶対つかまるなよ! 絶対助かれ! 生き抜けよ!」
 先を走るケイに言われて、俺はケイとは別の方向に走った。転がるように走った。途中で転んだけど走った。走って走って、息が切れて、気を失うように倒れた。
 誰の気配もしない暗がりの中、追っ手はまいたようだ。汗が目に入って、顔がゆがんだ。
 ケイはどうなった? 逃げきれたのか?
“絶対助かれ! 生き抜けよ!”
 言われた言葉が耳に残っている。
 この夜を越えれば、大丈夫なはずだ。とりあえず、今夜を乗り越えれば、俺は強く生きられる。握りしめていたケイから受け取ったモノを顔に当てて、俺は大きく息を吸った。





Copyright(C) MOON VILLAGE. All rights reserved.



この作品は、玄太さんの楽曲「瞳の奥に(悲壮編)」のイメージで書きました。

「瞳の奥に(悲壮編)」(歌詞付き動画):https://youtu.be/GGdhBuqp38M



玄太さんブログ:http://koragenta.hatenablog.com/

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飛行機雲 

[ 曲とのコラボ]

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 青い空に、一筋の飛行機雲が流れていた。
「そろそろ行くわよ」
 母親に言われて振り向く。両親の離婚のため、俺は母親に連れられて、母親の実家に行くのだ。中学進学の時期に合わせて引っ越しするのだ。そこにはあんまり会ったことがない婆ちゃんが住んでいる。
「田中君に挨拶したの?」
「ううん、後で電話する」
「そう」
 俺のつまらなそうな口調に合わせるように、母親も口をとがらせた。田中とは小学校の6年間、ずっと同じクラスだった。一緒に野球したり、サッカーしたり、塾も一緒に通った。
 くだらないこと言い合って、ゲラゲラ笑った。田中は頭が良かったから私立の中学を受験したかったみたいだったけど、家の経済的事情であきらめていた。

 子供なんてつまんないな、と思った。大人の都合に振り回されて。傷つくことだけ人一倍で。
 早く大人になりたい。
 人の痛みがわかる、器のでっかい大人に、俺はなる。

 母親の実家がある駅に着いてから、田中に電話をした。
 田中が出た気配がしたから、
「俺」
 と言うと、
『なんで』
 泣き声みたいな声が返ってきた。一瞬言葉に詰まって、でも言った。
「知らない。大人の事情で」
 気付いたら、俺も泣いていた。ちくしょう。
『俺ら、絶対また会おう』
「おう」
『俺はすでに結構頭いいから、おまえも勉強して』
 普段ならムカつく言葉だが、
「おう」
 素直に相槌を打った。
『すげえ大人になろう』
「おう」

 そんな会話をしたのに、俺と田中はその後、会うことはなかった。
 母親の実家で婆ちゃんと母親と暮らしながら、俺は勉強した。母親が働いていたが、経済的に苦しくて、高校はバイトしながら地元の公立に通った。大学に行きたかったけど、就職してくれって母親に頼まれて、無理だった。

 就職活動をしながら、見上げた空に一筋の飛行機雲が流れていた。田中のことを思い出した。無性に話がしたかった。あれから一度も話していないのに。

 握りしめていた携帯電話から電話した。かけていなくても、田中の番号はずっと記録されていた。
 電話に出たのは知らない男だった。「すみません」と切ろうとすると、
『俺だよ、田中だよ』
 大人になった田中の声がした。
『どうしてんの?』
 聞かれたので、就職活動しているとこたえると、
『勉強した? 約束しただろ』
 大学に進学しないことを責められている気がした。すると田中が、
『俺は勉強したけど、大学は行けないんだ。経済的事情で』
 と言った後、
『でも奨学金とろうと思ってる。やっぱ勉強、もっとしたいから』
 そうか、そういう手もあったかと思ったけれど、俺は無理して大学行くより、母親のためにも働いて、お金を稼ごうと思った。
 気付いたら、俺らは大人になっていた。大人の都合に振り回されない大人になっていた。自分の人生は自分で決められる大人になっていた。
「今度、会おうぜ」
 と言うと田中は、
『おう』
 と言った。久しぶりの会話をした興奮で、裏返った声で。




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この作品は、玄太さんの楽曲「瞳の奥に」のイメージで書きました。


「瞳の奥に」(歌詞付き動画):https://youtu.be/n8Dtvq--YO4



玄太さんブログ:http://koragenta.hatenablog.com/


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The pig,MBIRA (”豚のムビラ”英語版) 

[ 動画]

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絵と音楽は万国共通、
でも日本語は日本語がわかる人にしか伝わらない、
自分の作品を英訳できたらいいなあ、と思っていました。

その夢が実現しました!

叶えてくれたのは、高校生時代からの友人。

面識がない専門家に頼むこともできたけれど、
こんなふうに知り合いつながりで創り上げる合作も夢でした。

翻訳してくれたのは留学中の友人の娘さん。

心の豊かさを感じられる翻訳です。

感受性豊かなコたちが創って行く次世代は、きっと素晴らしいものになる!

ムビラはジンバブエの伝統楽器で、
この物語はその伝統を伝えるものではありませんが、
私のところに来てくれたムビラから誕生した物語には間違いありません。

この英語版は、大切な友人と友人の娘さんとの合作です。

英語版を通して、英語圏の方たちにも届きますように。




ちなみに日本語版はコチラ




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豚のMBIRA(ムビラ) 

[ 動画]

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2010年に作った物語をあらためて動画にしました!

当時、相棒になったムビラ(ジンバブエの伝統楽器)から生まれた物語です^^

テキスト版はコチラ↓
http://moon999.a.la9.jp/mbira.htm

物語の誕生秘話はコチラ↓
http://moon999.way-nifty.com/blog/2017/01/post-049c.html




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