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「こんなとき、どうする?」

Situation(1):「夜道にて」

 
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「ねえ、みんなに聞きたいことがあるんだけど」
 と切り出されたのは、会社帰りのショットバーだった。ビール1杯でも気軽に寄れるこの店。いつも1人で通ううちに顔見知りになって、言葉を交わすようになったメンバーがそこにはいた。
私を含め女性3人、男性1人。話を切り出したのは、そのうちの1人の女性だった。
「夜、道を歩いていたら、すれ違ったおじさんに声をかけられたの。田舎から出てきて仕事を探して1日中歩き回ったんだけど見つからなかった。お金がなくて朝から何も食べていない。どうかご飯を食べるお金を貸してくれないだろうか、って。こんなとき、どうする?」
 私ともう1人の女性は即座に同意見を言った。
「貸すわけないじゃない。交番の場所を教えてあげる。おまわりさんに借りるようにね」
「でもね、そのおじさん、本当に1日中歩いてたって感じで、汗だくで疲れきった様子だったんだよ。フラフラしてたし」
「とにかく、見ず知らずの人にお金なんて貸さない」
 彼女は貸したのだと言った。
「1000円だけ。それだけあれば何か食べられるだろうと思ったから。おじさんは自分の連絡先を教えてくれたけど、たぶん返してこないだろうなとは思ってる。それでもいいの」
「俺もたぶん貸すなあ」
 話を聞いていた男性が言った。
「そんな姿を見たら貸しちゃうだろうな。少しのお金で助けることができるなら、貸すよ」
 私は同意見だった女性と顔を見合わせて、お互いに『信じられないね』って表情をした。
 いつものようにビールを1杯ずつ飲み干し、私たちは店を出て、それぞれの帰る方向に分かれて歩き出した。

 ほろ酔い気分の頭で、さっきの話を思い出した。ふとさっきは感じなかった疑問がわきあがってくる。
 本当に困っている人にお金を貸してあげることは信じられないようなこと? むしろそんな気持ちにもなれずに、迷わず交番に行けと促してしまうことのほうが、人間として寂しいのではないだろうか。
 家に着くまでのいつもの道。前方を見ると、見かけたことがない中年男性が歩いてきた。
 近づいてくる。疲れたような足取り。憔悴しきったような顔つき。目が合う。男性は私の方に近づいてきた。
「いきなり、すみませんが」
 力なく声をかけられた。私はその男性の目線にとらわれたようになった。まさか。
「実は朝から何も食べていなくて。お金が全然なくて」
 さあ、どうする? こんなとき、どうする?


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