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「こんなとき、どうする?」

Situation(2):「次男坊」

 
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 俺は蕎麦屋(そばや)の次男坊だ。
 身体が弱かったお袋は俺ら兄弟が小さい頃に天国に逝ってしまったけれど、我が家族はとっても仲がいい。親父が一代で築き上げたこの店は評判がよく、閉店間際までお客が途絶えることはない。俺と兄貴は高校から帰ると、店の手伝いをする。
 兄貴は店の跡取りだ。親父は兄貴に蕎麦の打ち方など、熱心に教え込んでいる。如才ない兄貴は、頑固な親父の扱いもうまい。親父が兄貴に期待し、信頼していることは、はたから見ていてもよくわかる。
 一度、兄貴が店を継がないなんて言い出して、親父はすごい剣幕で怒っていたけれど、兄貴が折れて一件落着した。
 俺は閉店してからの親子水入らずのひとときが好きだ。尊敬する親父と兄貴と過ごす安心感。俺ら家族は最高だ。

 それは兄貴が高校を卒業した晩だった。
 明日から兄貴は親父のもとで、本格的に蕎麦屋修行の生活に入るのだ。
 夜中、家中が寝静まったと思った頃、
「起きてるか?」
 と部屋のドアの向こうで兄貴の声がした。ドアを開けると、大きなボストンバッグを肩からさげた兄貴が立っていた。
「おまえには言っていこうと思って」
 と兄貴は言った。そして、ためらいがちに言葉を続けた。
「この家を出て行く。俺は蕎麦屋を継がない。他にやりたいことがある。実は就職先も決まってるんだ」
 俺は言葉の意味がよく把握できなかった。いきなり何の告白しちゃってんだよ。
「なんだよ、それ。蕎麦屋はどうなるんだ。親父には言ったのか?」
「親父には言ってない。反対されるに決まってるから。蕎麦屋はおまえが継げ」
「は?」
「お前の方が俺より向いてるよ。お前にはその才能がある。俺よりもずっと」
 俺に才能が?
 何を見てそう判断したんだ。確かに店の手伝いは楽しいけど。これといって他に将来の夢もないけど。
 でも俺が蕎麦屋に?
 考えたこともなかった。跡取りは兄貴、そう思い込んでいたから。
 だけど兄貴に言い切られると、俺は蕎麦屋に向いているのかもと思えてきた。
「とにかく親父に黙って出て行くのはまずいだろ。俺、親父を起こしてくるよ」
 行きかけた俺の腕を兄貴はつかむ。
「ひと段落ついたら、必ず親父に報告にくるから。今、話してもわかってもらえる自信がない。俺が新しい道をしっかりと歩いている姿を見せることが出来たら、親父も納得してくれると思う。今はまだダメだ」
 兄貴の言うとおり、頑固な親父が兄貴の言うことに納得するとは思えない。だから兄貴はこんなやり方で家を出て行く決意をしたのだろう。
 兄貴の覚悟も本物だと思える。だけど明日の朝、きっと親父は立ち上がれないほどのショックを受けることになるだろう。こんな一大事、見逃せるのか?
 親父を起こしてきて兄貴を説得するべきだと、心の中の声が言う。目の前では尊敬する兄貴が必死の瞳で「あとのことは頼む」と俺に訴えかけている。
 さあ、どうする? こんなとき、どうする?


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