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「Four Seasons ~月の響きをききながら~」

「blue season ~夏~」(3)

 
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 彼は何故か、その後、わたしの部屋にいついてしまいました。いついてしまったというか、わたしの部屋にいる時間が多くなりました。わたしにとっても彼の存在はなんとなく心地いいものだったので、彼がわたしの部屋にいるのを拒絶はしませんでした。
 彼は自分の部屋を別に借りていましたが、その部屋には週に一度帰るくらいで、ほとんどの時間をわたしの部屋で過ごしていました。

 会社の人たちにはわたしたちが付き合っていることを内緒にしていたので、わたしたちは「お疲れさまでした」と言い合い、別々に会社を出て、お互いに別のルートを使ってわたしの部屋に帰る、という日々でした。
 朝の出勤時間もわざとずらしました。彼は朝食をとらずに部屋を出て、途中でモーニングなどを食べているようでした。
「俺、部屋引き払おうかなあ……」
 と彼が言ったことがありました。
 確かにあまり帰らない部屋を借りているのは不経済だと思いました。でも、ということは、この部屋で二人が暮らすということで、それは同棲ということで。
 彼はわたしとの将来をどう考えているのだろうか。
 という疑問が浮かびました。
 やはり「優等生」でいたい自分が、結婚前提でもない男性と一緒に暮らす……、というのはどうだろう、と思ったのです。それに一緒に暮らすようになった場合、彼はここの家賃を少しは負担してくれるのだろうか。
 お金の話はあまりしたくありませんが、部屋の家賃はもちろん、わたしが払っていました。二人の食費もわたし持ちでした。もし一緒に住むことになっても、彼がその半額なりを払ってくれる気が、どうしてもしませんでした。このまま流されてしまったら、わたしは痛い目にあうのではないか……、と思いました。
 でも結局、彼は自分の部屋を引き払いませんでした。彼とわたしの関係は進展も後退もせず、4ヶ月ほど続きました。このままこんな状態でずっと続いていくのだろうか、と漠然と思っていました。

 でも、別れはある日突然やってきました。なんの前触れもなく。
 朝出社すると上司から呼ばれました。思いがけないことを言われました。彼が昨日までで会社を辞めたと。勝手なことをされては困る、今後あの派遣会社から人を呼ぶ時には要注意だな、などと言っていましたが、わたしは驚きのあまり、言葉も出ませんでした。だって、彼はなにも言っていませんでした。その朝も、いつものようにわたしの部屋から出かけていったのです。その彼が昨日で会社を辞めた?
 彼がいなくなった分の仕事のフォローを頼む、と上司は言いました。わたしは上の空で頷きました。
 事実、彼はその日、出勤しませんでした。

 わたしは定時になると、会社を飛び出しました。まっすぐに帰宅しましたが、彼はわたしの部屋にはいませんでした。
 携帯電話に電話してみましたが、朝からずっと電源が切られたままでした。留守電に連絡をくれるようにとメッセージを何度も残しましたが、わたしの携帯電話は一日中鳴りませんでした。
 わたしは彼の部屋の電話番号にかけてみました。でるわけはないと思いながらも。
 ところが驚いたことに、1コールした後、彼は電話にでました。はずんだ口調でした。でも電話をしたのがわたしだとわかると、途端に不機嫌そうな口調になりました。
 わたしが問い詰めると、彼は悪びれもせず言いました。
「就職先が決まったんだ。もちろんそこは正社員として雇ってくれる」
 最近就職活動をしている様子もなかったのに、どうやって見つけたのかとわたしが聞くと、
「彼女の紹介。彼女、顔が広くて、いろいろ当たってくれてたみたいで。え? 彼女って誰かって? 彼女は婚約者。俺、今度結婚するんだ」
 目の前が真っ暗になりました。
「っていうか、俺がちゃんと正社員になれたら結婚しようって言ってたんだけどね」
 聞いてないよ、とわたしが言うと、聞かなかったじゃん、と彼は返してきました。
 彼と過ごした数ヶ月間のシーンが頭の中でぐるんぐるんとものすごい勢いでまわっていました。
 わたしは思わず言いました。
「わたしたちが一緒に過ごした時間、今までの時間は一体なんだったの?」
 しばらくの沈黙の後、彼は言いました。
「俺がこういうやつだって、知ってたはずじゃん」
 それだけ言って、電話はきられました。



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